ある日、突然。

悪性高血圧と、それに伴う心不全・腎不全・網膜症・脳梗塞など。現在も続く治療のあれこれとその周辺を記録するブログです。

その他、些細だけれど見過ごしてはいけなかった症状。

原因のわからない体調の悪さは
まずはとにかく「歩けない」ということに尽きていたが、
あとから思い返してみるとあちらこちらにいろいろなサインは出ていて、
そして見逃していた。


というか、当時は高血圧が心臓にきているというような自覚は全くなく、
2型糖尿病じゃないよな、などといった疑いをぼんやり感じるのがせいぜいで、
あまり原因を深く追求したくなかった、というのが正しいかもしれない。


まず、鼻血。
持病のアレルギー性鼻炎、あるいは風邪?の疑いに隠れていたが
鼻をかむと鼻水に細く血が混じる症状が、咳と同じくらい長く続いていた。
ただ、大量出血をしているというわけではないので、
鼻水に赤い筋が混じるのを見るたびに、
「あれ、鼻を強くかみすぎたか?」とついそのままにした。
鼻の中には毛細血管が多く集まっている。
血管がもろくなっている可能性とその原因を考えてみるべきだったのだ。


2つ目は、視力の低下。
近視なのでふだんはメガネ生活しているのだが、
当時、明らかな視力の低下を感じていた。
近視が進んだか、あるいは老眼が始まったか、眼精疲労か。
原因はわからないが、近くも遠くも見えが悪く、
度のあわないメガネをしているようなボンヤリ感がとくに右眼に強くでていた。
またとくに夜間、暗い場所で極端に視力が落ちる気がしていた。
ふだんPCを使って目を酷使する仕事をしていることもあり
当時は疲れたかな、そのうちメガネを作り替えればいいかな、と単純に考えていた。
だが今考えると、少し病的な見えなさ加減であったと思う。


3つ目は、頭痛。
正体のわからない体調の悪さと同時に、かなりの頻度で頭痛を感じていた。
いわゆる締め付けられるような緊張型頭痛で、
「孫悟空の輪がはまったよう」と私はよく表現していた。
この頭痛を抑えるために市販の頭痛薬を時々飲み、
とくにイブクイックは、飲むとさぁっと霧が晴れるように頭がすっきりした。
そんな時、私はよく脳の血管が広がって血流がよくなる感じを想像した。
たまにであればそれもよいだろう。
だが、頭痛の頻度や重さはどんどん上がっていた。
それに伴い、頭痛薬を飲む頻度もどんどん上がっていた。


4つ目は、異常な発汗。
少し歩いたり、動いたりしたときに、異常な量の汗をかくようになっていた。
動きを止めた瞬間にどっと滝のような汗が噴き出してくるのだが、
次の瞬間には体に寒気が走るような冷感がのぼってくる。
それは冷や汗のような感じでもあり、気持ち悪い感覚であったのだが、
自分では制御できないことのひとつだった。
そして、少し体重が増えたせいだろうか???と考えていた。

吐き気、ピンクの泡。

5月に入ると、調子はますます落ちてきていた。


夜まで体調が保たなくなったこともあり、
仕事を少し早めに切り上げ帰宅するのだが、帰宅途上の車中で気分が悪くなる。


会社から家まで、タクシーに乗っているのは20分程度だ。


はじめのうちは、歩いて少し調子が悪くなっても、
タクシーに乗って座り、息を整えて休むうちに調子が回復した。


それがやがて座っても調子が回復せず、かえって胸の苦しさが増すようになった。
座ってもしばらく胸が圧迫されたように息が苦しく、しゃべることが難しい。


全速力で走った後、苦しくて前かがみになり、
とにかく息を整えることに集中している感じに近いだろうか。
息をするか、しゃべるか。
ひとつの動作だけで精一杯で、同時にはできない。


不審に思われる前に運転手に行き先を伝えなければ、
と息を止め、ひと息に行き先を告げる。
そしてできるだけ楽な姿勢で座席におさまる。


乗車直後はとにかく必死だった。


また、車のエンジンの振動を感じていると気持ちが悪くなり、
タクシーに乗ると乗り物酔いのように、胃がムカムカするようになっていた。


車から降りるまではと、
のどにせり上がってくる吐き気を必死に抑えるのだが、
降りたとたんに吐き気がこみあげてきて、道路脇で吐くことが何度もあった。


5月半ばを過ぎるころには日常的に食欲がなく、
胃は空っぽのことが多かったが、そんな時でも吐き気はおさまらなかった。


そんな時、吐くものがなくなると黄色っぽい胃液だけを戻すようになった。


やがてそこに淡いピンク色の泡が混じるようになっていた。

夜中の頻尿。

もうひとつ、大きな症状として夜中の頻尿があった。


夜中に起きてトイレに行く回数は、以前はゼロかせいぜい1回だった。
それがいつの間にか回数が増え、常時1~2回、多い時にはもっと行くようになっていた。


眠りに落ちて1~2時間くらいたつと、必ずトイレに行きたくて目が覚める。


これが極まったのが5月のゴールデンウィークだった。


その日は、以前からの予定で1泊2日で熱海に出かけたのだが、
休みだというのに体調が回復しない、と朝から感じていた。


この頃、体調の悪さはずっと続いていたものの、
休めば一応少し回復してまた動ける、というのが常だったのに、
この日はそれがうまく働いていないようだった。


ただ連れがあることもあり、予定を変えるわけにもいかなかったため
無理を押して出かけた。


相変わらず歩くと胸が詰まって苦しいが、電車に乗ってしまえばあとは
座っていれば連れて行ってくれるさ、と昼間のうちはそれでも無理やり
やりくりを付けたのだが、夜中に異変が起きた。


眠ると、およそ1時間くらいでトイレに行きたくて目が覚める。
トイレから戻るともう一度寝ようとするが、横になると何か苦しいような
落ち着かないような、なにか妙な異和感を感じて横になることができない。
ただ、眠いのでそのままベッドの上に座ってウトウトする。
座った姿勢から、いつのまにか少しくず折れた体勢で眠りに落ちる。
そのうちトイレに行きたくなってまた起きる。


この繰り返しである。


5~6回繰り返したあと、もはや眠ることはあきらめたほうがよい、
と早起きしたふりをして起きることにした。


連れには夜中の不調は何とか隠したものの、翌日は前日よりもさらに体調が悪く、
1歩も歩けない、と感じる瞬間が増えた。


熱海は坂の多い町である。
海に面した丘陵にあり、駅前の商店街を少し歩くだけでもすべて坂道だ。


もはや体調の悪さをごまかすこともできなくなり、
連れに謝って予定を変更すると、早々に帰宅することになった。